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表参道・原宿“この木なんの木”…気になる”木”達 後編

表参道・原宿
“この木なんの木”...気になる“木”達 【後編】

”木”は生える

キャットストリートから更に細い道を入っていくと
いきなり建物に生えている木が目に入ってきます。

何とも不思議で思わず微笑んでしまうこの建物は
藤本壮介氏 設計のOmotesando Branchesです。 

オモハラで最もしげしげと見られるの一つではないでしょうか。

ところでそこで疑問なのは木々への水やりはどうしているのでしょうか。

設計者の習性としてついこうした所を確かめずにはいられません。
でもご安心下さい。
ちゃんと灌水のためのチューブが木の根元にありました。

この木を建物に植えると言う発想は
藤本氏の最近作である前橋の白井屋ホテル
の生えた客室にしっかりと継承されています。

”木”は繁る

植え込み満載のこの建物は一体何でしょうか。
カフェ?お花屋さん?
一体どこが入り口、入って大丈夫?

私はこの建物を密かにミニアクロス福岡だと思っています。
アクロス福岡 外観

アクロス福岡はランドスケープアーキテクトで有名な
エミリオ・アンバースも参画した
日本で本格的に建物に植栽を取り込んだ建物です。

このお店をアンバースが見たら
きっと気に入るのではないかと私は確信しています。

”木”を組む

裏通りに突然現れるパイナップルかはたまた竹籠か。


隈研吾設計の
Sunny Hills(パイナップルケーキのお店)
外部は細い6センチ角のヒノキの木組み。

その継ぎ手は一度組み合わせたら
二度と離せない程頑丈である事にちなむ地獄組みと呼ばれるものです。

この細木は勿論構造体でしっかりと荷重を支えています。

複雑な構成ですがシステマチックに組み合わせられており、
ある方向から見ると綺麗にラインが通っていて
すっきり見え規則性が窺えます。

お店の内部も忘れずに見て下さい。

複雑しかし規則的な構造が内部でも良く見えます。
ここではパイナップルケーキと紅茶を戴きましょう。

”木”を慈しむ

Sunny Hillsからほど近いそのコンクリート打放しの外壁には
しっかり木目が映し出されています。
とても優しい雰囲気を持つ銕仙会(てっせんかい)能楽研修所です。
コンクリート材にもかかわらず何故か和の雰囲気を創り出していて
設計者の意図が良く現れています。

この型枠には通常杉板を使いますが、
設計者はきっと型枠に指定した
きれいな木目の杉板を慈しむ気持ちがあったのではと想像します。

かく言う私も以前この木目を映し出す
コンクリート打放し本実(ほんざね)仕上げに挑戦したことがあります。
秋田県内のとある図書館の内壁に使いました。
施工者に木目の大事さを分かってもらい
大変良い感じの木目のコンクリートが打てました。

更に木目をもっと綺麗に浮き立たせるために
型枠の杉板表面を予めブラストして削り
木目をより出すこだわりのある設計者もいるほどです。

 

・・・ここでまた表参道にもどりましょう。

”木”を巡らす

マルチアーティスト杉本博司氏設計の 茶洒 金田中の庭園です。

庭の壁を巡っている生垣の発想は何と竹ぼうきのイメージ。
この意表を突く竹ぼうきを使う考えは千利休に代表される
侘び寂びの茶室に通じると思います。

杉本氏は更にマンション内に設計した
うちはそと名付けられた茶室でこのほうき垣を使っています。
これは京都にある普請道楽の北村謹次郎の作った
四君子苑*(しくんしえん)にある稲穂を使った稲穂垣
インスパイアされたものと私は見ています。

事実杉本氏の最近の話題作小田原に建つ江之浦測候所も
この四君子苑をお手本としています。

 *四君子:蘭、竹、菊、梅の4種類を草木の中の君子として称えた言葉

さていよいよ最後です。

”木”は導く

表参道の南端の先にちょうど明治神宮と対をなすように
見事な庭園を持つ根津美術館が有ります。

“竹並木”に導かれるように敷地に入いり右に向かうと
そこはあたりの喧噪を忘れさせる深い庇の下の静謐なアプローチ。

右側に竹の生垣、左側は綺麗に立ち並ぶ竹の壁。
(写真は逆から撮影)

設計は明治神宮ミュージアムと同じ隈研吾氏

長くとったアプローチとそこに置かれた竹。
ここに佇むと一気に美術館への期待が高まってくる巧みな空間演出。
庭園もまた素晴らしい。

 

・・・さていろいろな”木達をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか。

今まで見てきたものは単なる見える樹木としての“木”だけでなく、

木の様々な形、
生態、
転写された表情、
根を張ったもの、
木陰を提供するもの、
人の行動を誘うもの等様々です。

意識するとしないとに関わらず
私たちは自然と”木達と行動、感情を共有していると思います。

また、振り返ってみると
オモハラで取り上げた”木達の中で印象的な存在には
ケヤキ、ヒノキ、杉、竹等 
日本の伝統的な木達の存在があることに気づきます。

私はこの ケヤキ、ヒノキ、杉、竹 を四君子苑”にちなんで
オモハラ四君子に挙げたいと思います。

今度 表参道・原宿を訪れたら是非一度こうしたを意識して
そぞろ歩きをしてみては如何でしょうか。
きっと新しい発見があると思います。

 

ではこの辺で。
そろそろまた珈琲タイムにしたいと思います。

 

About me
Yasuo Nakamaru
Yasuo Nakamaru

1956年神奈川県生まれ。横浜国立大学大学院建築学卒業 一級建築士 全国通訳案内士(英語)
38年間にわたり組織設計事務所で国内国外の建築設計・監理に従事(米国、英国、中国他)

好きな建築
ナショナルギャラリー東館(ワシントンDC、USA、I.M.ペイ)、キンベル美術館(フォートワース、USA、L.カーン)、金沢21世紀美術館(SANAA)

趣味
バンド活動(バンマス、エレキベース、分野:ジャズなど)

建築専門家向けツアー、企業研修などで活躍中

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