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魅惑の建築ワンダーランド 上野公園②

魅惑の建築ワンダーランド
上野公園②

前回の 魅惑の建築ワンダーランド 上野公園① 
に引き続き、上野公園の建築をご紹介して参ります!

目次 ====================

エントランスだけでも十分楽しい前川ワールド

安藤忠雄によるレノベーションで蘇るクラシックな図書館

東京にある世界遺産!

そもそもなぜ上野に文化施設が集中しているのか?

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エントランスだけでも十分楽しい前川ワールド

東京都美術館 (1975年) 前川國男により再建

入り口には目を引く銀の球体アート。
日本で最初の公立美術館です(初代は1926年設計)。

風致地区規制で建物の高さは15mと制限されたため、
建物の約60%を地下に埋め
外からの光を取り込む中庭をもうけました。

全体的に低めに抑えられているのが
かえって快く招き入れてくれてように感じられます。

外観の暖かい色味は地震にも強い
レンガ風の埋め込みタイル(レンガではないのです!)

赤、緑、黄、青のポップな色の壁や椅子、
エレベーター内も思わず写真を撮りたくなってしまう楽しい美術館です。

展示替えの期間でも館内には自由に歩くことができるエリアが多いので、
ふらっと ミュージアムショップついででもオススメです。

東京文化会館 (1961年) 前川國男

日本初の本格的オペラ、バレエ用 音楽ホール。

正面には師匠ル・コルビュジェの公立西洋美術館が建っています。
師匠への尊敬の念を感じさせる外観の控えめさとは裏腹に、
館内はゴールドの壁、天井に広がる星空、
原色の螺旋階段、サーモンピンクの廊下とインパクトかなり強め。

建物の中にまた建物?!の大ホール。
石垣の外壁デザインも大胆です。

それぞれのホールの音響の良さにも定評があり、
世界の音楽家から“Ueno”と愛されています。

安藤忠雄によるリノベーションで蘇るクラシックな図書館

国際子ども図書館 (2002年)安藤忠雄 

明治、昭和、平成3つの異なる時期を経て
少しづつ増築して行った図書館。

第一回工事は1906年、
日清戦争、日露戦争からの財政難により全体の約1/5のところで竣工。
その後も財政難により当初の計画の1/3の規模に留まっていました。

2002年、リノベーションを多く手がける安藤忠雄の
『あるものを生かして、ないものを作る』という理念のもと改修、増築されました。
その方法はなんと新旧の「衝突」!

その名が表す通り、2つのガラスボックスが旧館に衝突、
というか…建物を突き抜けています。

安藤忠雄の美しいガラスが創建当時の意匠を尊重しながら
引き立て、見事な調和を見せます。

東京にある世界遺産!国立西洋美術館

国立西洋美術館 (1959年)ル・コルビュジェ 

日本初の西洋美術館として
日本人の文化的教養の向上のため建てられました。

ル・コルビュジェの日本唯一の作品でありながら、
設計のほとんどは彼の日本人の弟子たちの
前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の3人に託されます。
(本人は8日だけ日本に滞在してフランスに帰っていきました)

現地視察に来日した後、
コルビュジェからほとんど寸法も記載されていない図面が送られ、
3人は師匠の思想や手法を手がかりに
パズルを解くように解読していきます。
あまりに簡単に描かれていたため、
実施計画期間中も弟子たちがかわるがわる
フランスやインドにいる師匠のもとを訪れ、
指示を仰ぎ、確認しながら完成させました。

現代のように気軽にネットで会話などできない時代、
3人の苦労を思うと 美術館が存在することに感謝の気持ちも生まれます。

さらにはコルビュジェの遊び心が感じられる
「無限成長美術館」という小学生男子が好みそうな響きのコンセプト。

将来的に美術館のコレクションの増加に合わせて
建物の中心からバームクーヘンのように渦巻き状に
増築(成長)していくという夢のような発想です。

「で、どの部分が成長したの?」と知りたくなりますが、
増築は(今のところ)されていません!

増築はされていませんが、
その後 背後に前川國男設計の新館が建てられました。

ル・コルビュジェの「近代建築の5原則」を多く用いた空間は
美術館そのものがアートとして楽しめる仕掛けがたくさんあります。

コレクションはもちろん名作揃いですが
館内を歩いてデザインに注目するだけでもとても面白い美術館です。

(西洋美術館は2022年まで長いお休みに入っておられます…
 そのため残念ながら現在は入館することができません) 

 

そもそもなぜ上野に文化施設が集中しているのか?

現在の上野公園はもともとの寛永寺というお寺の敷地の一部でした。

戊辰戦争の際には戦場となり、
その後 日本初の公園として生まれ変わったのが上野公園です。

ここに日本で初めての博覧会(内国勧業博覧会)が1877年に開催され、
このイベントがきっかけとなりこの場所を
日本の文化的な行事の場にしようという計画がスタート。

1882年に恩賜上野動物園、東京国立博物館が創設されたのを皮切りに
博物館、美術館、大学、図書館、音楽ホールが作られ、
今では9つの文化、芸術施設が上野公園には集まっています。

同じ面積率で言うと、
パリ・ルーブル博物館周辺、ワシントンDC・スミソニアン博物館周辺よりも
上野公園の方が施設の数は多いというのも驚きです。

東京のあちらこちらで目にする都市開発からもわかるように、
比較的新しいもの好む文化の日本人。
古いだけで建築が保存されるような文化ではない中
これほどの歴史ある建物が大切に残っている上野公園の建築は
築年数以上に人々を魅了する強い個性があることがわかります。

それぞれの建築が見てきた上野の歴史を想いながら
建築巡りをしてみてはいかがでしょうか?

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