建築好きが階段写真を撮るのはデザインが素敵だからではない

建築好きが階段写真を撮るのは

デザインが素敵だからではない

建築好きは写真好き。

私も確実にその一人です。
そして 好んで撮りにいくテーマの一つに階段があります。

写真を撮るときは正直なところ
デザインの美しさやインパクト重視で選ぶことが多いのですが
階段写真の場合、
デザイン以上に階段のカメレオン的な性質に惹かれているなと気付いた話です。

Instagram の世界を見ても階段ファン(特に螺旋階段ファン)は多いですね。

本気度、加工の熱の入れ方もすごい。

ハッシュタグも階段関連だけ見ていても 

#spiralstairs
#spiralstaircases
#worldneedsmorespiralstaircases
#階段 
#階段好き
#螺旋階段
#階段同盟 …

階段だけ投稿しているアカウントも多いのでそれだけ写真が与えるインパクトが多いのでしょう。

これだけ見ると、取り憑かれているのは
おそらくデザインだけではないだろうと考えた訳です。

螺旋階段、上から見るか? 下から見るか? 横から見るか?
 

当たり前のことながら階段では
どこから見るかの角度によって視界が劇的に変わります。

これは何にでも言えることですが、例えば家具の場合、
角度を変えてもその変化はそこまで面白いものではないですよね。
なんとなく想像もつきますし。

これは階段に注目して写真撮り始めてから気づいたことなのですが
「螺旋階段は全角度から見ないともったいない」。

全て登ってみると下からは想像もしなかった発見があったりします。

 

例えば 東京文化会館の螺旋階段
(建築好き、螺旋階段好きにはテッパンではありますが…)

正面から見ても、眩しいほど鮮やかな赤い螺旋階段に
「おっ…!」と足が止まります。

そして昆虫が匂いに誘われるかの如く、
階段好きはホイホイと引き寄せられて行くのですが、
その時1、2箇所からだけ見て満足せず、
登れるところまで登るべし。

おそらく上からの景色は下からでは想像はできないと思います。
(少なくとも私はできないです)

螺旋階段は正面だけでなく、
上から見下ろすか、
下から見上げるかで
実は驚くほど違う表情になっています。

正面から。
サインと逆光がなければ最高。

下から見上げた様子。どうなっているのか一瞬頭が混乱する写真。
天井の三角がキュート。

上から見下ろした様子。
手摺りの素材や色、ヘリの感じがよくわかる。

時間帯によって外からの明かりの雰囲気も変わりまた違う雰囲気が楽しめます。

ちなみにこの東京文化会館は、一般公開されている赤螺旋階段の他に
関係者が使う「青螺旋階段」もあるのです。
これも本当に美しい。
そして演者さんのサインなどが入っていたりしてさらに素敵なのです。

残念ながら青螺旋階段はツアーではご案内できませんが、
もし東京文化会館の会議室を利用する機会があれば、途中で会えますよ!

(東京文化会館の赤の螺旋階段は上野公園建築大好きツアーで見られます!)

階段熱が高すぎるで有名な村野藤吾

若き頃は客船インテリア設計に注力した村野藤吾。
クルーズ船のアトリウムにはゴージャス感たっぷりの
吹き抜け階段があるのがデフォルトです。
非日常空間の演出が求められるクルーズ船の設計経験は
を任されるようになって
その後の村野のホテルや文化施設の設計に大きな影響を与えます。

特にこだわったのが階段。

高い意匠性と美しい段裏、高度な職人技の仕上げで
うっとりするような螺旋階段を生み出してきました。


こちらどうですか。美しすぎやしませんか…。
軽やかで緩やかな手摺りのカーブとその素材。


以前、建築オタクチームで日生劇場の見学をさせていただいた際
広報の方が説明くださったのは
この螺旋階段は男性と女性の歩幅の違いを考えてデザインされているとのこと。

「階段内側にいる夜会服のご婦人を外側から紳士が手を取りエスコートする。
夜会カップルを美しく見せるデザインなんです。」
という言葉に女子たちはキューンとなった訳です。

他の意匠に比べてドラマチックな演出がお上手ですね、螺旋階段…。

軽やかに踊りだしそうなフォルム。

滑らかで優雅な手摺り。

段裏も気を抜きません。

時代の流れも読み解ける階段
 

最後に東京国立博物館の大階段。

鉄筋コンクリート造の洋風建築に瓦屋根をのせた外観はそれだけで威厳たっぷりですが

吹き抜けのエントランスで迎えてくれる大理石の大階段の迫力は
建築好きでなくてもじっくりと見渡してしまうのではないでしょうか。

手すりは大理石に鋳物の装飾がはめこまれ、天井は、寺院建築によくみられる格天井。
近代化という西洋化を歩む中、鉄筋コンクリート造で日本国の力を表現しました。

もはや言葉はいらないほどの素材のインパクト。
ドラマなどで使いたくなる理由がわかりますね。

子どもの階段への執着 
新しい世界を見たいのだ

階段フェチたちのリサーチをしていて思い出したことが一つありました。

マンション暮らしの我が家。
娘がだんだんと歩き始めた頃、
二階建て一軒家の階段がそれはそれは魅力的だったようで、
何度も登り降りしては周りをヒヤヒヤさせていました。

娘にとっては建物に二階があること自体はどうでもよく、
幼児に典型的に見られる階段への憧れであり、
己の前に立ちはだかる限界への挑戦と達成後に広がる新しい景色が
たまらなかったのでしょう。

視点が変わる、新しい発見がある、建物の中のおもしろ装置。
今回、この原体験が「大人になっても階段好き」
に繋がってるんじゃないかと妙に納得できました。

まだまだいくらでも語れそうな階段ですが、
建築好きがつい階段写真を撮ってしまう理由は
インスタ映えするから、だけではないようです。

デザインが注目されがちな階段ですが、
機能性もありながら様々な表情を持っているアートピースで、
その背景にはドラマチックなストーリーがある可能性が高い。
そこに記憶のどこかにある冒険心がくっついてさらに魅力的に感じるのでしょう。

 

これからもさらに階段沼にハマりそうです。

 

Showcase Tokyo Instagram  @show.case_tokyo

東京文化会館 https://www.t-bunka.jp/

日生劇場 https://www.nissaytheatre.or.jp/

東京国立博物館 https://www.tnm.jp/

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